看取り期の場合
相手の気持ちに寄り添うことを忘れずに
看取り期こそ丁寧な対応を

看取り期は利用者家族にとって大切な時間であると同時に、気持ちが不安定になる時期でもあります。そのため、家族対応の際はより丁寧な対応が求められます。利用者家族の不安を取り除くために積極的に話を聞きましょう。信頼関係を築くことで相手の気持ちを引き出しやすくなり、利用者本人や利用者家族の希望に近い形で看取りのタイミングを迎えることができます。
コミュニケーションの取り方
看取り期の家族対応では、なるべく直接コミュニケーションを取るようにしてください。さまざまな事情で面会に来られない場合もありますが、その際は電話でやり取りをしましょう。希望をうかがうだけでなく、利用者の様子も伝えてあげてください。また、利用者本人だけでなく利用者家族も後悔がない選択ができるようにしなければなりません。看取り後の希望についても、あらかじめ聞いておきましょう。日々の関わりの中で利用者本人からの希望を聞けた場合は、利用者家族に対して伝えます。それが難しい状況であれば、利用者家族の方から利用者本人の希望や意向を聞いてください。
利用者本人と利用者家族の希望が一致していないケースもあります。その際に、「○○さんはこうしたいとおっしゃっているのでそうすべきです」などと、こちらの意見を押しつけるようなことは避けてください。利用者家族からすれば、初めて聞くことかもしれません。きちんと相手のペースに合わせて会話をしながら、お互いの意見を尊重して今後の方針を決めていきましょう。
また、面会の際にはお互いが過ごしやすい空間を用意しなければなりません。思い出の写真を置いたり、長居しやすいようにソファーを置いたりするなどの工夫が求められるでしょう。大切な時間をできる限り心地よく過ごせるようにしてください。その上で、摂取した食事量や普段の様子など、介護士として接する中で得られた情報を伝えましょう。ポジティブな話題であれば、より細かく伝えてあげると利用者家族の心は和らぎます。
重要な情報の伝え方
食事を口から取れなくなった際は、現在の状況と経管栄養への切り替え、今後の見通しについてなどを伝える必要があります。その際に、利用者家族が悲観的になってしまうような表現は避けてください。また、容体が急変した際は素早く連絡をします。急な出来事で不安な気持ちになっているので、相手の反応を見ながらゆっくりと会話をしましょう。容体の急変も含めて、自然な経過であることをあらかじめ伝えておけば、いざという時にも冷静になれます。